AI、サイバー攻防を一変=米中、技術・情報を囲い込み―PHP問題



【ワシントン、北京時事】人工知能(AI)の普及でサイバー空間の攻防が一変した。世界のウェブサイトの約7割で使われるとされるプログラミング言語「PHP」の脆弱(ぜいじゃく)性発見には、米国製AIが一役買った。この技術は攻撃にも利用でき、ハイテク覇権を争う米中両国は互いを警戒。未知の欠陥を先に突き止める競争が、国家安全保障を左右する時代に突入した。

PHPの欠陥発見に貢献したのは、米オープンAIの高性能モデル。同社は「先端AIが攻撃者より先に脆弱性を見つけた」と強調した。公表された協力企業に中国勢の名前はない。一方、欠陥の公開直後から弱点を突く不正アクセスが世界で相次ぎ、攻撃側の動きの速さも際立った。

米中のサイバー対立は長年に及ぶ。米政府は2011年に初のサイバー戦略を策定し、トランプ米政権1期目から対中制裁を連発。20年には、脆弱性発見で実績を持つ中国セキュリティー大手「奇虎360」を米国からの輸出禁止リストに加えた。今月にはAI新興ディープシーク(深度求索)を連邦政府調達から排除する措置も公表している。

中国もサイバー情報の国家管理を徹底してきた。習近平指導部は14年、サイバー安全保障を国家戦略に据え、「防御と威嚇」の能力向上を宣言。21年には自国企業に欠陥情報の報告を義務付けた。米外交問題評議会によると、米中のAI性能差は「いまや数カ月」。米国は中国当局が集めた情報を攻撃へ利用する事態に身構える。

「われわれも彼らを猛烈にスパイしている」。トランプ米大統領は5月、米中首脳会談で中国のサイバー攻撃を取り上げたか問われ、こう切り返した。中国でもPHP問題を機に「攻撃と防御は表裏一体」(国営メディア)との認識が広がる。AIが攻防を加速させる一方、技術や情報の囲い込みも進む。米中は疑心暗鬼を募らせたまま、11月にAIの重大事案を巡る対話に臨む。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国の習近平国家主席(左)とトランプ米大統領=9月24日、ワシントン(EPA時事)

2026年10月25日 07時07分


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