
【ベルリン時事】ドイツの内陸水運の約8割を担うライン川で、猛暑による渇水が貨物船の航行を難しくしている。石油や化学製品などの供給が滞り、ガソリンのさらなる値上がりも懸念されている。産業界は「貨物船の下に水が足りないのに、企業は溺れそうな窮地に立たされている」(化学工業協会)と悲鳴を上げている。
ライン川は北海と独西部の工業地帯をつなぐ大動脈。しかし日照りが続き、水深の浅い難所で知られるコブレンツ近郊カウプの観測地点では、今月5日に水位が20センチを下回り、過去最低を更新した。貨物船は積み荷の量を本来の4分の1程度に抑えたり、航行できなくなったりしているという。
輸送コストが増大しているほか、供給も不足し始めている。独誌はエコノミストの分析として、局所的なガソリン不足が全国に波及する可能性があり、「(米国と)イランの戦争に加えて、価格を押し上げる新たな要因になるかもしれない」と警告した。化学や鉄鋼、自動車産業などに影響が及び、「成長率を0.1~0.2ポイント押し下げかねない」(キール世界経済研究所)との見方もある。
独政府は6日に業界トップと緊急会議を開き、安息日のために法律で禁じている日曜日のトラック輸送解禁や鉄道貨物の利用簡素化などを決めた。ただ効果は限定的だ。水運事業者は、将来に備え、喫水の浅い船舶の導入や、水門・航路など河川インフラの拡充を急ぐ必要があると訴えている。
〔写真説明〕渇水状態のライン川を通る客船=6日、ドイツ・コブレンツ近郊カウプ(EPA時事)
2026年08月08日 20時35分