
2027年度一般会計予算の概算要求総額は143兆円超と、過去最大を大幅に更新した。成長投資を促すために新設した投資枠に要求上限を設けず、金額を明示しない「事項要求」も認めたことで、最終的な予算額はさらに膨らむリスクもある。長期金利の急騰という形で市場が「警告」を発する中、必要な歳出を確保しつつ、財政規律も維持できるのか。年末の予算編成作業で、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」は正念場を迎える。
政府は今回の概算要求で、例年は補正予算で措置してきた施策を原則として一括要求するよう求めた。事業者らの予見可能性を高めるのが狙いだったが、文部科学省や農林水産省などの要求額は前年度当初の1.5倍近くに膨らんだ。
新設した「強く豊かな日本」投資枠は、人工知能(AI)・半導体関連など多くの項目が事項要求。特に防衛費は、年末の安全保障関連3文書改定に伴い、数兆円単位で拡大する可能性もある。
高市政権は来年4月から食料品消費税の減税も目指している。併せて導入する給付措置との合計で年5兆円規模を措置する必要があるが、財源捻出は難航必至だ。
足元では、世界的なインフレ懸念や高市政権の財政拡張路線に対する不安を背景に、長期金利が節目の3%に迫っている。これに伴い、国が発行する国債の利払い費は前年度から3割近く増加。「国の借金」返済に要する国債費は概算要求額の4分の1を占め、財政の自由度は狭まりつつある。
高市早苗首相は「通年の国債発行額を適切にコントロールする」と強調。市場に配慮し、国債発行額が今年度より大幅に増えることは避ける構えを見せる。ただ、補助金や租税特別措置の見直しなど歳出・歳入改革は思うように進んでいない。財務省が予算査定で各省要求に十分切り込めなければ、国債増発を余儀なくされ、さらなる財政悪化を招く事態に陥りかねない。
〔写真説明〕高市早苗首相=28日、首相官邸
2026年08月31日 21時23分