
【ダラス時事】サッカーのワールドカップ(W杯)初戦のオランダ戦で、値千金の同点ゴールを記録した鎌田大地選手(29)。観客席で跳び上がって喜んだ元ガンバ大阪スカウトの二宮博さん(64)は、鎌田選手が中学時代、体の急成長で思うようにプレーできず、苦しんだ姿を思い起こしていた。
愛媛県伊予市出身の鎌田選手は小学校時代、地元クラブで活躍。その後、二宮さんに誘われ、中学でガンバのジュニアユースに入団した。両親と離れ、大阪府岸和田市の祖父母宅に身を寄せて練習に励んだが、「不遇の3年間やった」と二宮さんは話す。
身長が3年間で約25センチも伸びた。急成長により身体のバランスが崩れてプレーの感覚が追いつかず、骨折も3回した。慣れない環境に加え、思うように体を動かすことができず、いら立ちを表に出すこともあった。二宮さんは「自信が揺らぎ、もがき苦しんでいた」と当時の様子を語る。
けがに悩まされ、先発メンバーに入れない日も増えた。「試合に出られずにごめんね」。公式戦を見に来た父親に謝ることもあった。二宮さんは自身がセレクションに誘った選手に、高校進学時は、ユースへの昇格がかなわないと伝えなければならなかった。
鎌田選手はその後、東山高校(京都)に進学。1年生でレギュラーをつかむと、2年生で複数のJリーグクラブから注目されるようになった。二宮さんによると、その歩みは、元日本代表の本田圭佑さん(40)と重なる。体ができあがっていなかった本田さんもガンバのジュニアユースからユースへ昇格できず、星稜高校(石川)に進んで開花した。
二宮さんは、子どもは体の問題以上に、心の持ち方が大事だと強調する。ジュニアユースで挫折後、鎌田選手と本田さんが高校時代に飛躍したのは「自信が付いたことが大きかったのだろう」と指摘する。2人は主将として部員が100人を超えるようなチームを引っ張る経験の中で、責任感や覚悟を培っていったという。
オランダ戦での鎌田選手について「攻守の中心となり、冷静にチームをコントロールしていた」と熱っぽく語る二宮さん。中学時代の苦しい経験を経て今があるといい、「状況を冷静に受け入れられるからこそ、柔軟にプレーできる。代表には欠かせない」と力を込める。第二戦チュニジア戦もチームの中核としての活躍を期待している。
〔写真説明〕W杯で日本代表の初戦、オランダ戦に臨む鎌田大地選手(AFP時事)
〔写真説明〕W杯の日本対オランダ戦で、鎌田大地選手の応援に駆け付けた二宮博さん=14日、米ダラス(本人提供)
2026年06月17日 07時05分