
ブタの腎臓をヒトに移植する「異種移植」の臨床試験(治験)について、明治大発のベンチャー「ポル・メド・テック」(川崎市)は29日、2028年にも北海道大病院(札幌市)と湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)の2施設で実施すると発表した。移植用臓器の慢性的な不足を補う治療法として期待され、同社は治験で安全性などを確認した上、製造販売承認を目指す。
同社は米バイオ企業イージェネシスが開発した遺伝子改変ブタの細胞を輸入。国内で移植用のクローン豚を飼育し、摘出した腎臓を患者に移植する。
このブタは拒絶反応を抑えるため69カ所の遺伝子を改変したほか、ブタ由来ウイルスの感染リスクを低減させている。米国ではこれまでに4例の治験が行われ、最長で約9カ月間、患者が人工透析を離脱した実績があるという。
慢性腎不全などにより透析を受けている患者は国内で30万人を超えており、腎臓移植を希望する待機者は約1万5000人に上る。一方、日本臓器移植ネットワークによると、脳死となった人からの移植は年間200件ほどにとどまり、臓器不足が深刻な課題となっている。
こうした状況も踏まえ、政府は今月公表した官民投資のロードマップで、異種移植を重点分野の一つに位置付けた。国産技術の確立や製造体制の整備を進め、早期実用化を目指す方針を示している。
ポル・メド・テック代表取締役の長嶋比呂志・明大教授は「異種移植が有用な医療技術として発展するよう努力したい」と話している。
〔写真説明〕湘南鎌倉総合病院=神奈川県鎌倉市
2026年06月29日 18時06分