
【ロンドン時事】英国が欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を国民投票の結果で決定してから23日で10年が経過した。英国は日本企業にとって欧州事業の一大拠点だった。各社はブレグジットで新たに生じた英EU間の「障壁」に苦慮しつつも、英国に強みがある金融や科学技術分野で新たなビジネス機会を模索する。
欧州市場全体を視野に入れた拠点を英国に置いていた日本企業は、ブレグジットによって事業や人材配置の見直しを強いられた。英EU間では原材料や部品の輸送に関税が発生。出張者の入国審査や手続きも新たに必要となり、ある大手企業関係者は「現実的には難しいと思うが、英国がEUに復帰してほしいというのが本音だ」と明かす。
英シンクタンク、レゾリューション・ファンデーションは、2019年以降の5年間で「英国の物品輸出は先進7カ国(G7)で最大の落ち込みとなった」と指摘する。ブレグジットで築かれた障壁の大きさをうかがわせた。
一方、「当初の想定よりも英国を離れる日本企業は少なかった」(日本政府関係者)。企業の間では、国際金融都市ロンドンの優位性や、英語でビジネスができることが利点だとの見方が根強い。
英国で新たな技術開発の拠点や協業先を探る動きも多い。今月11日に日本貿易振興機構(ジェトロ)などがロンドンで開いた企業と学術機関のマッチングを狙うイベントに、名門オックスフォード大をはじめとする英研究機関と、日本企業約30社が参加した。
英国には、半導体や人工知能(AI)、医療、製薬などの分野で専門性の高い人材が集まる。「新技術を持つ研究機関や新興企業をいち早く見つけ、連携したい日本企業は多い」(ジェトロ)という。
懸念材料は、10年間で首相が6人も辞任するという不安定な政権運営だ。右派ポピュリスト政党リフォームUKへの支持が増えるにつれ、外国人に課される就労ビザの要件も年々厳格化されている。時の政権に左右されがちなこうした要件が「いつ変更されるか分からず、心配だ」(金融関係者)と、政策の安定性を望む声が上がっていた。
【時事通信社】
〔写真説明〕20日、ロンドンで欧州連合(EU)復帰を求めデモ行進する人たち
〔写真説明〕日本企業と英学術機関のマッチングを狙うイベント=11日、ロンドン
2026年06月25日 07時07分