異種移植、実用化へ加速=海外先行、胎児腎や膵島も計画



「異種移植」の実用化に向けた研究が加速している。2022年に米国で遺伝子改変ブタの心臓を心不全患者に移植する世界初の手術が実施され、腎臓でも臨床応用が進展。こうした流れを受け、国内では東京慈恵会医科大や国立国際医療研究センター(NCGM)の研究チームが、胎児や膵島(すいとう)で実用化に向けた研究を進めている。

米国では24年、遺伝子改変ブタの腎臓を患者に移植する手術が複数例行われた。昨年にはバイオ企業ユナイテッド・セラピューティクスが食品医薬品局(FDA)から臨床試験(治験)の承認を受け、1例目が末期の腎不全患者に実施された。

慈恵医大の臨床研究は、先天的に腎臓が形成されない「ポッター症候群」の胎児が対象。妊娠中のブタから採取した腎臓の元となる約2ミリの組織を移植し、胎児の体内で成長させる。出生後すぐに透析が必要となる重症児を救命し、将来の腎移植につなげる「橋渡し治療」の実現を目指す。

NCGMは、インスリンをつくるブタの膵島細胞を1型糖尿病患者に移植する治験を計画。海外の治験では、一定の有効性と安全性が示され、ブタ由来の病原体の感染報告もないという。ブタの供給施設や細胞加工施設などの整備を進め、将来的な実施を目指している。

異種移植は、慢性的な臓器不足を補う技術として期待される一方、拒絶反応や長期的な安全性などの課題も残る。厚生労働省は専門委員会を設置。安全性や倫理面を審査する体制を整え、実用化を見据えた環境づくりを進めている。

〔写真説明〕遺伝子組み換えブタの腎臓をヒトに移植する世界初の手術を成功させた米マサチューセッツ総合病院の医師団=2024年3月16日、マサチューセッツ州ボストン(同病院提供・AFP時事)

2026年06月29日 20時31分


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