
一人前の警察犬を目指し、訓練に励むジャーマンシェパード「フサフサ号」(愛称モニ)は、スランプを乗り越えながら、着実にステップアップを重ねている。ペアを組む警視庁鑑識課の新米ハンドラー立石彩水巡査長(31)も、試行錯誤しながら徐々に訓練の難易度を上げる。期待の「新入り」が現れる中、検定合格に向けいっそう熱が入る。
昨年6月に東京都東大和市の警察犬訓練所に入所して以降、ハンドラーの指示に従う「服従」や、遺留品のにおいから犯人の逃走経路を割り出す「足跡追及」のトレーニングで、着実に成長を遂げてきたモニだが、昨年末、スランプに陥った。訓練中に跳ぶべきハードルを避けてしまうことがしばらく続いた。
立石巡査長は「ハードルの設置場所や角度がわずかにずれていた」と分析。指導役のベテラン流茂紀警部補(55)も「跳べないまま訓練を終えていたので、モニがそれでいいと思ってしまったのでは」と指摘する。
そこで期間を空け、ゼロから教え直すと効果はてきめん。年明け以降は「板壁」と呼ばれる障害物の登り降りも始めるようになった。
足跡追及では、約3カ月間で直線のほか円形をクリアし、等間隔に配置するご褒美の餌を減らして四角形に挑戦した。四つの角を見逃さずに追跡し、ハンドラーのにおいの付いたゴム片が置かれた地点で「伏せ」をできたら成功だ。
速いペースで進もうとするモニに対し、丁寧ににおいを嗅がせるため「ゆっくりだよ」と声を掛ける立石巡査長。2度やったが、角を通り過ぎたり、線からずれて進んだりする場面もあり、まだまだ訓練が必要だ。
「課題は集中力が切れた時にどう気を引くか」。昼食前で気が散ったり、呼んでも来なかったりするといい、立石巡査長は「今は友達のような関係性。現場に出た時に支障のないよう、主従関係を築いていかなければ」と気を引き締めた。
今年、訓練所にはひときわ目立つ「新入り」が入った。1歳のベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのオス「万蔵(バンゾウ)」だ。自衛隊や米軍などで活躍する身体能力の高い犬種で、モニの「後輩」とは思えない堂々としたたたずまいに、係内では「ライバルが現れた」「追い越されるのでは」と色めき立った。
周囲の心配をよそに、スランプを乗り越えて成長を続けるモニ。巡視に訪れた畑孝博鑑識課長(当時)は「環境に慣れて訓練に励んでいる様子を見て安心している。早く検定に合格し、現場で活躍してほしい」とエールを送った。
〔写真説明〕訓練でハードルを跳び越えるジャーマンシェパード「モニ(フサフサ号)」と号令を掛けるハンドラーで警視庁鑑識課警察犬係の立石彩水巡査長=2月5日、東京都東大和市
〔写真説明〕においを頼りにハンドラーが歩いた道筋をたどる「足跡追及」の訓練をするジャーマンシェパード「モニ(フサフサ号)」と声を掛けるハンドラーで警視庁鑑識課警察犬係の立石彩水巡査長=2月5日、東京都東大和市
〔写真説明〕ジャーマンシェパード「モニ(フサフサ号)」の成長を確かめる警視庁の畑孝博鑑識課長(左、当時)とハンドラーで鑑識課警察犬係の立石彩水巡査長=2月20日、東京都東大和市
〔写真説明〕『スランプ乗り越え訓練励む
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2026年08月26日 07時05分