
反骨心を胸に、再び世界への道を開いた。5月下旬に行われたレスリングの明治杯全日本選抜選手権で、2024年パリ五輪女子76キロ級金メダルの鏡優翔(サントリー)が、昨年12月の全日本選手権で敗れた松雪泰葉(ジェイテクト)に決勝で雪辱。今秋の愛知・名古屋アジア大会と世界選手権の代表を決めるプレーオフでも勝ち、「誰よりも練習してきた。結果で証明できた」と涙ながらに語った。
明るいキャラクターが注目され、五輪後に多くのテレビ番組に出演。昨年、地域貢献活動などを手掛ける株式会社KAWAIIを設立し、最初の事業として今春にジュニア大会を主催。社長を務めつつ、東洋大大学院社会福祉学研究科で勉強にも励む。何足もわらじを履き、「普通の24歳の生活ではない」と笑う。
現役中に起業するレスリング選手は極めて珍しい。原動力は競技への熱い思いだ。「レスリングだけをやる人が多かった中、(仕事と競技を両立させる)デュアルキャリアでも勝つ道筋ができたら、今後のレスリング界にとっていいと思った」
全日本選手権後、SNSなどで「練習しろ」と批判されることもあったという。それでも「この生活で絶対に勝つ」と信念はぶれず、忙しくても2部練習をこなしてきた。特に磨いたのはタックル。スパーリングで失点を恐れず、前に出続けてきた。プレーオフは試合終盤にタックルから場外へ押し出して競り勝ち、「自分を信じて進んできてよかった」。
28年ロサンゼルス五輪での連覇が目標。「新たな鏡優翔として世界で活躍したい」と充実した表情で言った。
【時事通信社】
〔写真説明〕全日本選抜レスリング女子76キロ級プレーオフで松雪泰葉(手前)を攻める鏡優翔=5月23日、東京・駒沢体育館
2026年06月04日 14時33分