
国家サイバー統括室(NCO)トップの飯田陽一・内閣サイバー官は時事通信のインタビューに応じた。米国の新興企業アンソロピックが開発した「クロード・ミュトス」など高性能の人工知能(AI)モデルの登場によって、サイバー攻撃が加速し規模が拡大すると説明。新たな危機に対し、政府や民間企業が協力して「日本全体で対応する必要がある」と述べた。
―ミュトス登場の受け止めは。
攻撃に利用できる脆弱(ぜいじゃく)性をより多く見つけられるということは、サイバー攻撃のスピードとスケールが格段に上がる。ただ、今も既存AIを使って防御側と攻撃側が競争をしている状態だ。
―先月、政府が対策パッケージを発表した。
単なる紙の注意喚起ではなく(重要インフラを所管する)金融庁、経済産業省などが事業者らと意見交換を行った。各大臣が直接対話したのは、経営陣として(防御の優先順位やリスク評価などを)判断してほしいという政府からの強いメッセージとなった。
―NCOの考えは。
(サイバーセキュリティー対策は)国民の生活を支えるインフラ事業者が最優先だが、それ以外の多くの企業も(攻撃によって事業が)停止すれば(重要インフラに)ダメージが出てくるかもしれない。そういう意味で日本全体で対応しないといけない。
司令塔のNCOとしては、外国政府やビッグテック(巨大IT企業)とも連携して日本の取り組みをレベルアップしていく。
―今後の取り組みは。
日本の企業、政府が可能な限り最先端のモデルにアクセスできる環境整備も重要だ。(重要インフラ企業のサイバー攻撃対策強化に向けた)統一基準を策定中で、パブリックコメントが終わった。もともと、AIも入れていたが、もっと強い表現で盛り込むことを速やかに進めたい。
―国家安全保障戦略など関連3文書の改定については。
サイバーは安全保障の観点から3文書の中の極めて重要な柱の一つだ。国家安全保障局(NSS)を中心に検討が進むが、サイバーセキュリティーの確保は日本国にとって最優先の課題だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕インタビューに答える飯田陽一・内閣サイバー官=1日、東京都港区
2026年06月03日 07時02分