
フランス柔道の指導者研修が今夏、福岡県を中心に行われた。五輪の混合団体で日本を下して2連覇中の「柔道大国」。地域クラブを中心としたスポーツ人口も日本を上回るとされる。そんな国の指導者は、日本が2023年度から手探りで始めた中学校部活動の地域展開をどう見ているのか。「フランス柔道指導者職業研修機関」の責任者であるヤン・ルルーさん(62)に聞いた。
7月の夜、福岡武道館で行われたのは福岡市内の柔道クラブに通う小学生との合同練習。ルルーさんの技の指導は独特だった。ダンスのように軽やかなステップを踏みながら足技を鮮やかに決めると、子供たちが目を輝かせた。自身も地域クラブで教えるだけに「お客さんを喜ばせ、満足させることをやはり考えないと」。当然のように話した。
フランスでは子供から高齢者までが柔道クラブに通う。指導には国家資格が必要で、技の指導だけでなく、事故を減らすための対処法を学ぶことなども求められる。
日本の中学校教員が多忙で部活動の指導に手が回らない現状には、「付加価値を付けてもらえないのなら、フランスでは誰もやらないと思う」。
指導者の確保が課題とされる日本の地域展開に対しては、「職業として、自分の技術やノウハウ、特別な才能の対価として、それなりの金額を得られるようなシステムを構築することが先決だ」と指摘する。フランスの指導者は報酬を得られ、柔道指導のみで生計を立てる人や、副業にする人も多い。「一つの職業という社会常識がないことにはなかなか始まらない」とみている。
その一方で、日本の部活動柔道からの学びも多い。年齢層が絞られ、1週間で道場に来る日数が計算できるため、「段階に応じた長期的なプログラムを作って、目標を達成しやすい」と自国にはない強みも感じている。
研修は今年で5回目となり、「日本に来るたびに技術的な面、精神的な面を学べる」。願うのはそれぞれの長所を取り入れる形で柔道がさらなる発展を続けることだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕日本の道場との合同練習で乱取りをするルルーさん(左)=7月6日、福岡市内
〔写真説明〕足技を教えるルルーさん(中央)=7月6日、福岡市内
2026年09月08日 12時33分