被災地支援の自治体、負担軽減=交代や分担で長期化対応―能登地震受け、派遣制度見直し・総務省



被災地に自治体職員が応援に駆け付ける国の仕組みを巡り、派遣期間が長引いた場合は送り出した側の負担が重くなり過ぎるとして、総務省は制度を見直した。被害が甚大だった能登半島地震で応援が長期化したことを踏まえたもので、被災市町村の災害対応業務のマネジメントをサポートする「総括支援チーム」の交代や分担を柔軟に認める。負担の軽減により、被災地を応援する自治体の活動を後押しし、早期の復旧・復興につなげる狙いだ。

応援職員を送る「応急対策職員派遣制度」は、2016年の熊本地震を踏まえ、18年に創設された。被災市町村ごとに都道府県や政令市がカウンターパートとなり、必要な応援人員の確認や災害業務全体の助言をする「総括支援チーム」などを派遣する。

1市町村に送られる総括支援チームの人数は数人で、派遣期間は通常1カ月程度が想定されてきた。能登半島地震では、被災した石川県輪島市に三重県から派遣されるなど、6市町がチームを受け入れた。ただ、24年1月から始まった派遣が全市町で終了したのは6月。長期化による負担の軽減を求める声が出た。

そこで総務省は、制度の見直しを決めた。新たな仕組みでは、総務省や全国知事会などで構成される「応援職員確保調整本部」に申し出があれば、カウンターパートとなる都道府県・政令市の交代や、総括支援の役割分担ができるようにした。担当者は「これまでより円滑な被災地支援につながる」と話す。

派遣制度には、総括支援チーム以外にも、避難所運営や罹災(りさい)証明書の交付といった個別の業務をサポートする「対口支援チーム」もある。能登半島地震では、一つの被災市町に対して、対口支援チームを送る都道府県・政令市が最大で20に上り、関係者間の情報共有が不十分となるケースもあった。今後は、被災自治体と応援側の関係者が集まり、活動報告や今後の対応を共有する場を設けるよう、総務省が呼び掛ける。

【時事通信社】 〔写真説明〕能登半島地震の被災地で、避難所の物資受け入れ作業をする応援職員(三重県いなべ市提供) 〔写真説明〕能登半島地震の被災地で、避難所の受け付け業務をする応援職員(三重県いなべ市提供)

2025年01月02日 07時56分


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