「半島防災」機運高まる=能登地震教訓、振興法に反映



三方を海に囲まれ、平地が少ないといった半島地域の特性を踏まえる形で、災害への備えを強化する「半島防災」の機運が高まっている。発生から1年を迎えた能登半島地震で浮かび上がった課題を教訓に、3月末に期限が切れる半島振興法の改正・延長に際して、考え方を反映させる方向だ。

能登半島地震では道路や港湾の大規模な損壊により被災地への進入路が限定されるなど、半島特有の問題が明らかになった。石川県輪島、珠洲、穴水、能登の4市町では一時、24地区の計3345人が孤立状態に。通信インフラ障害や停電、断水も広範囲で長期化した。

こうした被害状況を受け、他の半島地域も危機感を共有。2024年11月に東京都内で行われた半島振興に関する会合で、和歌山県の岸本周平知事は「道路が寸断されれば、付け根の部分から先に応援に行けないというのは紀伊半島も全く同じ」と口にした。

そこで焦点が当たっているのが、10年に1度の改定期限を控える半島振興法だ。議員立法で1985年に成立し、これまでに3度延長。税制上の優遇措置による産業振興に重きを置く法律だったが、自民党は防災強化あっての産業振興だと発想を転換し、抜本的な改正を検討してきた。

ハード・ソフト両面の対策を強化するのが柱で、「半島地域のすべての道路は防災に資する」といった考えに基づくインフラ整備や、地域に分散した小規模な発電設備、給水システムの導入などを後押しする。定住増につながる生活環境の整備も重視し、児童や障害者への配慮を盛り込む。

自民、公明両党は、通常国会で与野党合意による委員長提案を目指す。半島地域に安心して住み続けられる環境をつくるとの方向性は、多くの野党も共有しており、今後、議論が本格化する見通しだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕地震で倒壊した7階建てのビル=2024年12月5日、石川県輪島市

2025年01月03日 15時56分


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