文部科学省は、大学院で学び直した社会人が教員に転職しやすい環境を整備するため、現行の免許制度の見直しを検討する方針だ。大学の学部段階で教職課程を履修していなくても教員免許が取得できる仕組みを設け、社会人の教育現場への参入を後押しする。
中央教育審議会(文科相の諮問機関)の部会で具体的な制度づくりを検討し、2026年度中の答申を目指す。文科省は部会の議論を踏まえて制度の詳細をまとめる方針で、教育職員免許法の改正も視野に入れる。
教員の「普通免許」を取得するためには、大学や短大で、指導法や教科の内容に関する単位を習得し、実習を受ける必要がある。普通免許は、大卒相当の「1種」などのほか、大学院修了相当でより専門性の高い「専修」がある。
ただ、現在は大学院の課程のみでは免許を取ることはできない。社会人は学部での履修も必要になり、その分取得までの期間が長くなる。文科省によると、大学院で学び直して教員への転職を希望する社会人は一定数いることから、制度の見直しを検討することにした。
中教審の部会では、大学で教職課程を履修しなかった社会人を主な対象に、大学院で教職に関するプログラムを習得すれば免許の取得が可能になる新たな仕組みを設ける案などが議論される見通し。
24年度に採用された公立学校教員の倍率は3.2倍と過去最低を更新し、欠員を補充できない「教員不足」が生じている学校もある。同省は制度改正によって、多様な専門性を持つ社会人が教職に参入する経路を拡大し、人材の確保につなげたい考えだ。
【時事通信社】
2025年02月15日 13時30分
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