自動車、電機で満額相次ぐ=大手回答、高水準―物価高、人材不足で・25年春闘



2025年春闘は12日、大手企業の集中回答日を迎え、自動車、電機業界などの各社が相次いで労働組合の要求に満額回答した。物価高や深刻な人手不足を背景に、歴史的な賃上げ率を記録した前年に匹敵する回答が並んだ一方、要求に届かないケースも目立った。今後、交渉が本格化する中小企業に大幅賃上げの動きが広がるか注目される。

トヨタ自動車は賃上げ、一時金ともに満額回答。電機大手は基本給を底上げするベースアップ(ベア)で月1万7000円の統一要求に対し、日立製作所、NEC、富士通が満額回答で応じ、現行の交渉方式でいずれも過去最高となった。日立の滝本晋理事は記者会見で、大幅賃上げの理由について「会社の成果を従業員に還元し、成長に向けてチャレンジし続ける好循環を作っていきたい」と説明した。

自動車や電機などの産業別労組で構成する金属労協の金子晃浩議長は、「経済の好循環の原動力になると確信している」と評価した。このほかの製造業は、化学大手の三菱ケミカルが平均7.01%の賃上げを回答。このうち、ベアは4.8%と組合要求の4%を上回る「満額超え」だった。

鉄鋼大手3社のうち、JFEスチールと神戸製鋼所はベア月1万5000円の要求に満額回答した。一方、前年は要求超えで妥結した日本製鉄は、ベアに相当する賃金改善分として月1万2000円と、今年は一転して要求を下回った。

業績不振に陥った日産自動車の回答は1人当たりの賃上げ総額を月1万6500円と、要求の月1万8000円を下回った。ホンダはベアと定期昇給を合わせて月1万9500円の要求に対し、回答は月1万5000円。ベアの回答額は月8500円にとどまり、青山真二副社長は「過去2年間で他社に先んじて高い水準のベアを行ってきた」と説明した。

電機大手は業績などに応じて回答がばらつき、三菱電機は月1万5000円で妥結。東芝は月1万4000円、パナソニックホールディングスは月1万3000円と回答した。

【時事通信社】 〔写真説明〕金属労協のボードに書き込まれる2025年春闘の回答状況=12日午後、東京都中央区

2025年03月12日 20時04分


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