武藤経産相、「適用除外」引き出せず=鉄・アルミ、25%関税の公算



トランプ米政権の高関税措置に対し、武藤容治経済産業相は日本の「適用除外」に向け米閣僚らと会談したが、具体的な成果は得られなかった。鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税発動は12日に迫り、日本も対象となる公算が大きい。日米両政府は引き続き事務レベルで協議を続けるが、打つ手は限られる。

「日本を除外するという話にはなっていない」。武藤氏は11日(日本時間)、会談後の記者会見でこう振り返った。ある経産省幹部は「必ずしもすぐに合意できる簡単なものではない」と話す。

武藤氏はワシントンでラトニック商務長官らと初の会談に臨んだ。投資などによる日本の貢献に加え、液化天然ガス(LNG)の輸入拡大などエネルギー分野での協力も表明した。

武藤氏は「(米側が)非常に重く受け止めたのは事実だ」と手応えを示し、「どのように日米の国益をウィンウィンにしていくことができるか、今後緊密に協議を進めていく」と語った。

しかし、米政府は例外を認めない姿勢を貫く。4月にも発動するとみられる25%程度の自動車関税でも、適用除外の言質は得られなかった。

鉄鋼の対米輸出額は全体の1%強にすぎないが、3割を占める自動車への関税や、非関税障壁の高い国・地域にも相応の関税を課す「相互関税」が発動されれば、日本経済への影響は大きい。

武藤氏は今回、トランプ氏に近く第1次政権で駐日米大使を務めた共和党のハガティ上院議員とも意見を交わし、米政権の要求や対処などで助言を得たという。先の経産省幹部は「われわれが考えていることをしっかり伝えたということは非常に大きな一歩」と話すが、先行きは不透明だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕米政権による鉄鋼とアルミニウムなどへの関税適用回避を求め、会談に臨む武藤容治経済産業相(右)とラトニック商務長官=10日、ワシントン(経産省提供)

2025年03月12日 16時26分


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