日産自動車は11日、内田誠社長(58)が退任し、後任に商品企画の責任者イバン・エスピノーサ氏(46)が4月1日付で昇格する人事を発表した。内田氏に対しては、ホンダとの経営統合協議を巡って混乱を招いた責任を問う声が社内で上がっていた。業績が急激に悪化した日産は新体制の下で混乱を収拾し、経営の立て直しを目指す。
内田氏は11日、オンライン形式で記者会見し、退任理由について、ホンダとの統合協議を巡る混乱などを受けて「一部従業員から信任が得られなくなった」と説明。その上で、「新しい経営体制で一日も早く再スタートを切ることが最善だ」と述べた。内田氏に加え、坂本秀行副社長(68)ら役員4人も3月31日付で退く。内田、坂本両氏は6月の株主総会まで取締役を務める。
エスピノーサ氏は会見で、日産の現状について「まだ潜在力があり、多くの可能性を発揮できる」と強調。新モデルの投入を通じて低迷する米国、中国市場で販売回復に取り組む考えを示した。
日産は米国や中国事業の不振が響き、2025年3月期の連結業績は800億円の純損失を計上する見通し。世界で9000人の人員削減と3工場を閉鎖する経営合理化計画の策定も、詰めの調整が続く。トランプ米大統領が打ち出した関税政策により、メキシコでの生産比率が高い日産の経営環境は不透明感が強まっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕オンラインで記者会見する日産自動車の内田誠社長=11日
〔写真説明〕オンラインで記者会見する日産自動車のエスピノーサ次期社長=11日
2025年03月12日 12時30分