「目玉」削除も異論収まらず=年金法案、国会提出なお厳しく―自民



厚生労働省は17日、年金制度改革関連法案を巡り、厚生年金の積立金などを活用して基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする方策を法案から削除する修正案を自民党に示した。改革の「目玉」部分だけに厚労省にとって苦渋の決断だったが、党内の異論は収まらず、政府が目指す4月中の国会提出はなおも厳しい状況だ。

全ての人に共通する基礎年金の底上げ策は、少子高齢化の影響で将来世代が低年金に陥るのを防ぐのが狙いだ。財源としてサラリーマンが納めた厚生年金の積立金と国費を投入する案に対し、自民党内では「厚生年金の流用だ」との批判が噴出。新たな国民負担と受け止められ、今夏の参院選への影響を懸念する声が党内に広がった。

法案が提出できなければ、厚生年金に入るパート労働者の範囲拡大策など改革全体が頓挫する恐れがあったため、底上げ策の本格実施の判断を5年後に先送りする案を先に提示。それでも自民党の一部議員の強硬な反対姿勢は変わらず、厚生年金などを活用した底上げ策を法案から外すことを余儀なくされた。

一方、今回の修正案には2028年度に終了する見通しの厚生年金の減額調整措置を30年度まで続けることを明記。5年後の次期制度改正で、厚生年金の積立金を活用する案の再検討に余地を残した。減額幅は現行の3分の1にとどめる方針で、影響を受ける高齢世代に配慮した形だ。

党内では「制度が複雑すぎる」といった理由で慎重論が依然として根強く、17日の会議では河野太郎前デジタル相は現行制度の微修正に過ぎないと指摘。「与野党で年金制度の抜本改革を議論すべきだ」との持論を展開した。

自民党は来週の次回会合で、法案提出の是非を決める。とりまとめ役の幹部議員は「国会提出にこぎ着けられるか分からない」としており、どこまで意見集約が図れるかは不透明だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕厚生労働省=東京都千代田区

2025年04月18日 10時56分


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