財務省が12日発表した2024年度の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益の状況を示す経常収支は30兆3771億円の黒字だった。黒字額は23年度の26兆1664億円を上回り、比較可能な1985年度以降で過去最大を更新。配当金や利子の収支を示す第1次所得収支の黒字拡大が寄与した。
第1次所得収支は、前年度比11.7%増の41兆7114億円の黒字で過去最大だった。企業が海外子会社から受け取る配当金が増加し、円安進行でドルなど外貨建ての収益を押し上げた。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆480億円の赤字(前年度は3兆6866億円の赤字)。輸出は半導体製造装置や自動車が伸び、4.1%増の106兆2390億円、輸入はパソコンなどの電算機類が増加し、4.3%増の110兆2870億円だった。
旅行などのサービス収支は、2兆5767億円の赤字(同3兆2307億円の赤字)となった。訪日客の増加により旅行収支は過去最大となる6兆6864億円の黒字。一方、ネット広告などの取引を示すデジタル関連収支は6兆9651億円の赤字で、過去最大の赤字だった。
同時に発表した25年3月の経常収支は前年同月比6.7%増の3兆6781億円の黒字だった。黒字は2カ月連続で、3月として過去最大を更新した。
【時事通信社】
〔写真説明〕積み上げられた輸送用のコンテナ。奥は東京ゲートブリッジ=4月15日、東京都大田区
2025年05月12日 15時58分