日英両政府は個人情報を含むデータの両国間での移転を拡大する方針だ。両国の研究機関や行政機関が2026年春にも煩雑な手続きを経ずに個人データをやりとりできるようにする。日本としては創薬など医療分野の研究を後押しする狙いがある。
日本はこれまで、英国と欧州連合(EU)との間で、個人データを国境を越えて移転しやすくする態勢を整えてきた。英国とEUの「一般データ保護規則(GDPR)」は個人情報の保護水準が世界で最も高いが、日本の個人情報保護法は英国とEUから十分な保護水準と認定を受けており、本人同意などがなくてもデータ移転が可能だ。
ただ、現在は認定の対象は企業に限られ、研究機関や行政機関は対象外だった。
こうした中、日本の個人情報保護委員会と英国の科学・イノベーション・技術省は4月、学術研究・行政分野を来年春までに対象に加えるため作業を加速することで合意した。実現すれば、大学などが英国側の保有する治験、症例などのデータを活用することが可能になる。遺伝情報を使った生物学分野の研究促進も期待される。
行政分野では政府や自治体が保有する犯罪歴などの情報の移転を促進したい考えだ。日本はEUとも個人データ移転の拡大を目指して交渉を進めており、数カ月以内に協議を進展させる方針だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕日英両国旗(資料写真)
2025年05月11日 10時11分