政府が、雇用の7割を占める中小企業の賃上げ促進に向け、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5カ年計画」を策定する方向で調整していることが13日、分かった。計画案は、2029年度までの5年間で生産性向上のための投資に官民で60兆円程度を投じる目標を打ち出す。人手不足が深刻な飲食業や宿泊業など12業種の労働生産性を集中的に引き上げる方針も掲げる。
週内にも開く新しい資本主義実現会議(議長・石破茂首相)で提示し、6月にまとめる実行計画に盛り込む。
石破政権は、最低賃金を20年代に全国平均1500円へ引き上げる目標を掲げる。5年間を集中取組期間として、官民の支援の下で中小企業の省力化・デジタル投資を促進し、従業員1人当たりが生み出す付加価値である労働生産性を引き上げることで賃上げに向けた環境を整備する。
12業種はこのほか、小売業や理容・美容、クリーニングといった生活関連サービス業、製造業、介護・福祉、農林水産業など。業種別に所管官庁が中心になって「省力化投資促進プラン」を策定し、公表する。
約400万人を雇用する飲食業では、5年間で労働生産性を35%向上させることを目指す。セルフレジや配膳ロボットなど優良事例をまとめた行動計画を策定する。同じく35%の生産性向上を目指す宿泊業では、自動チェックイン機器などによる省力化を推進する方針だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕石破茂首相=12日、首相官邸
2025年05月13日 14時49分