日産自動車は13日、2027年度までに国内外で車両を生産する7工場と人員2万人を削減すると発表した。25年3月期の連結純損益は6708億円の赤字(前期は4266億円の黒字)と、バブル崩壊後の経営危機に見舞われた00年3月期(6843億円の赤字)に迫る水準に落ち込んだ。経営難の深刻化を踏まえてリストラを加速させ、部品などの取引先企業も今後絞り込む。
横浜市内の本社で記者会見したイバン・エスピノーサ社長は、日産の現状について「高コスト構造の問題を抱えている」と認めた上で、「市場環境が不透明な中で業績改善を迅速に進め、収益を確保できる体質にならなければならない」と述べ、リストラの強化で立て直しを目指すと強調した。
日産は26年度までに世界で9000人を削減し、タイ工場など3工場を閉鎖する計画だった。追加リストラ策に伴い、人員削減の規模は全従業員の15%に拡大する。車両工場の数は現在の17から10に縮小。人員削減と工場閉鎖は国内も対象に含まれるが、工場の具体名には言及しなかった。
25年3月期は中国や米国での販売不振で収益が急激に悪化。生産が低迷したことで工場の価値が大きく下がり、5000億円近い減損損失を計上した。このほか、米国での販売を立て直すための値引き費用やリストラ経費もかさんだ。
26年3月期の純損益予想は「米国の関税政策による不確実性を踏まえ、現時点で合理的に算定することが困難だ」として、公表を見送った。ただ、今年4~6月期の営業損益は2000億円の赤字見通し。年間を通じた米関税の影響を最大4500億円と見積もっており、販売不振に追い打ちをかけている。
【時事通信社】
〔写真説明〕決算について記者会見する日産自動車のイバン・エスピノーサ社長=13日午後、横浜市西区
2025年05月13日 20時54分