フジHD、初の赤字201億円=25年3月期―黒字転換予想も、広告減収長期化



フジテレビ親会社のフジ・メディア・ホールディングス(HD)が16日発表した2025年3月期連結決算は、純損益が201億円の赤字(前期は370億円の黒字)だった。赤字は、08年の持ち株会社移行後で初めて。元タレント中居正広氏の性加害問題への対応を問題視したスポンサー離れが響いた。広告収入減少などで、売上高は2.8%、営業利益は45.4%それぞれ減少した。

26年3月期の純損益は、好調な不動産事業の貢献や保有株の売却などで、100億円の黒字を確保する見通し。ただ、CM差し止めの影響が長引き、営業利益は25億円と86.3%の大幅減益を見込む。フジHDは26年3月期に営業利益400億円という中期計画で掲げた目標を取り下げた。

新たに策定した「改革アクションプラン」では、不動産事業に依存した収益構造の改善へ、コンテンツ事業を強化する方針を表明。投資資金を確保するため政策保有株を3年以内に1000億円超売却する。29年度までに1000億円超の自社株買いも行い、株主価値を向上させる。同日記者会見した清水賢治専務(フジテレビ社長)は「会社がどう変わっていくか、目に見える形で実行していくことが大事だ」と述べた。

フジテレビでは、港浩一社長(当時)が中居氏の問題で初めて記者会見を開いた1月中旬以降、CM差し止めの動きが相次いだ。3月末に公表された第三者委員会の調査報告書は、同社の人権意識の欠如やコーポレートガバナンス(企業統治)の機能不全などを厳しく指摘。1~5月時点での累計のスポンサー契約は160社程度(前年同期は約800社)と回復には遠く、清水氏は「7月上旬までかなり影響は出る」と指摘した。

フジテレビ単体での25年3月期業績も、広告収入の急減に加え、保有資産の減損処理による特別損失の計上により、純損益が328億円の大幅な赤字(前期は36億円の黒字)に転落した。

【時事通信社】 〔写真説明〕フジテレビ本社=3月31日、東京都港区 〔写真説明〕取材に応じるフジ・メディア・ホールディングス(HD)の清水賢治専務=16日午後、東京都港区

2025年05月16日 21時13分


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