【ウランバートル時事】モンゴルを訪問中の天皇陛下が10日に訪問された「新モンゴル学園」創設者のジャンチブ・ガルバドラフさん(62)は山形大留学時代、長女ガルバドラフ・トゴスさん(43)が学んだ県立高校にほれ込み、モンゴル初の日本式教育を取り入れた高校を2000年に設立。現在は幼稚園から大学までの総合教育機関へと発展した。
日本への最初の留学から30年。苦学生時代を振り返り、「たくさんの日本の方々に支えられ、今の私がいる。お世話になった日本の皆さんに改めて感謝したい」と語った。
モンゴル国立大を卒業後、同国内の学校で物理教師をしていた。1995年に日本語を学ぶため単身留学し、96年に妻と子供4人を連れて日本に留学した。97年から山形大大学院修士課程に在籍。新聞配達や運送会社、居酒屋で働き、睡眠時間4時間の日が続いていた時期もある。
長女が学ぶ県立山形西高校の物理の教科書や学校経営を見て、「モンゴルでもこのようにやれば母国が発展する」と確信。日本で学ぶ私費外国人留学生を支援する「米山記念奨学生」に選ばれ、日本式学校をつくる夢を持つようになった。99年からは東北大大学院博士課程に在籍。その時には「夢を必ず実現して皆さんに恩返しする」と誓っていた。
山形、宮城両県民有志の支援で、00年に3年制の日本式高校「新モンゴル高校」が誕生。制服や給食、部活動を導入した。08年に小中高一貫校となり、その後、工科大、高専、幼稚園も併設。18年には、元横綱日馬富士さんの協力で「新モンゴル日馬富士学園」もできた。
「教育は国の発展の基」と考え、「あなたたちの夢は私の夢」と生徒たちに言い続けてきた。この日、陛下を出迎え、「人生の中で最高の出来事だ。今までやってきたことが報われた」と話した。
【時事通信社】
2025年07月10日 20時31分
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