【アッシュビル(米ノースカロライナ州)時事】日銀が今月17、18日に開く金融政策決定会合を前に、追加利上げを迫る「外圧」が強まってきた。米国のベセント財務長官は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて訪米した植田和男日銀総裁と8月30日に会談。円安是正に向けた早期利上げへの期待を示し、日本の金融政策に介入する姿勢をあらわにした。
ベセント氏と植田氏の会談は、日米通貨当局が7月末に円安阻止へ協調介入して以降では初めて。市場では介入後も円売りの動きは止まらず、円相場は一時、約1カ月ぶりに1ドル=160円台に押し戻された。
円安による輸入物価の上昇圧力が高まる中、日銀の利上げが遅れれば、長期金利の急上昇を招きかねない。日本の長期金利が上がれば、これまで為替リスクがあっても、相対的に利回りの高い米国債を買ってきた日本の投資家が国内に資金を還流。ベセント氏が避けたい、米国の金利上昇を加速させる可能性がある。
ベセント氏は会談で、植田氏に「円の大幅な過小評価に対処するため、日本が市場と金融政策の両面で断固たる措置を講じることを強く支持する」と伝達。これまで日銀による「正しい判断」に期待を示してきたが、より直接的な表現で利上げを催促した。
海外当局者が日銀の政策運営に口出しするのは異例だ。日銀は物価の上振れへの警戒を強めており、政策委員の間では利上げペースの加速を主張する声が出始めている。それだけに日銀内では、米国の注文に対し「静かな環境の方がいい」と戸惑う声も漏れる。2日に札幌市で会見した日銀の高田創審議委員は「あくまでも独自の意識で環境を認識しながら対応する」と強調した。
G20閉幕を受けて記者会見した植田氏は「(他国の金融政策に)コメントする、しないはそれぞれの判断だ」と論評を避けた。ただ、高市政権は日銀の利上げをけん制する動きを見せてきただけに、ベセント氏の言動は「政権に対し、利上げを妨げないようにくぎを刺す狙いもあるのではないか」(野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト)との見方も浮上している。
【時事通信社】
2026年09月03日 08時03分
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