地道な実験重ね、無二の成果へ=険しい道「気にせず」―ノーベル化学賞のそあいさん



ノーベル化学賞の受賞が決まった東京理科大の※(※石ヘンに夾)合憲三名誉教授(76)は7日夜の記者会見で、研究で大切なこととして、「どんどん実験をやるということです」と語った。地道な実験に明け暮れる日々を苦にすることもなく重ねた先に、唯一無二の成果が待っていた。

生命を構成する分子には、右手と左手のように鏡写しの関係にある二つの「鏡像異性体(キラリティー)」があるが、地球上の生命分子は一方のみで構成されている。

その生命の仕組みに「非常に不思議なことだ」と興味を持った※合さんはメカニズムを探究。1995年、どちらか一方の異性体だけがごくわずかに多い状態から反応をスタートさせると、生成物自身が触媒として働き、自分と同じ異性体を増やしていく「不斉自己触媒反応」(※合反応)を発見した。

生命が行っている反応を人工的に再現したのは画期的だった。

研究の道は険しかった。※合さんは記者会見で、作りたい有機化合物が分かっていれば「山の上のそれに向かって登るイメージ」とした。対して自身の研究は「山があるかも分からない。暗い中を頭にヘッドライト付けて、地面をたどっているような気分だった」と振り返った。

それでも「研究をしていて苦しかったことは全然覚えてないというか、気にしない」と話した※合さん。実験のたびに分かる事実を楽しみながら、次の研究に向かい続けた。

実験を重ねて発見につなげる姿勢は、東京大在学中に「薫陶を受けた」(※合さん)という、有機化学合成の第一人者で、ノーベル化学賞候補と目されながら2018年に91歳で死去した向山光昭・東大名誉教授の教えでもあった。

不斉自己触媒反応のきっかけをつかんだのは1990年。この時は生成物の量が少なかったが、「非常に面白い」と感じ研究を継続した。ある日、実験に使う物質に窒素が含まれるものを使ったところ、同じ構造の生成物が大量にできることを発見。選考委員会が「1世紀以上にわたる化学の謎に対する解決策を提示した」とたたえた成果を導き出した。

【時事通信社】 〔写真説明〕ノーベル化学賞の受賞が決まり、記者会見する東京理科大のそあい憲三名誉教授=7日、東京都新宿区 〔写真説明〕ノーベル化学賞の受賞が決まり、記者会見で笑顔を見せる東京理科大のそあい憲三名誉教授=7日、東京都新宿区 〔写真説明〕ノーベル化学賞受賞決定後の記者会見を終え、記念撮影に応じる東京理科大のそあい憲三名誉教授=7日、東京都新宿区

2026年10月08日 14時32分


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