米軍ヘリ、繁華街で低空飛行=映画「東京上空300メートル」公開へ―大墻監督が描く日米地位協定



新宿や渋谷といった東京の繁華街上空で、米軍のヘリコプターが低空飛行を繰り返している。日米地位協定で容認された危険な飛行。日本のヘリには認められないことがなぜ許されるのか。疑問を掘り下げた映画「東京上空300メートル」が10日から全国で公開される。大墻敦監督(63)に撮影の背景を聞いた。

始まりは2020年から毎日新聞が続けている日米地位協定の問題を検証する企画「特権を問う」。取材で集めた米軍ヘリの異様な低空飛行の証拠映像を使い、ドキュメンタリー映画にできないか。24年に映画化の話がスタートした。

新宿の高層ビル群を縫って飛行する米軍ヘリ。日本の航空法では、世界基準に合わせ、建物の上端より300メートル以上の上空を飛ばなければいけない。機体に不具合が起きたとき、安全な不時着に必要な高度とされる。

しかし、日米地位協定に基づく航空法の特例により、米軍には適用されない。事故が起きたらどうなるのか。監督は「すぐに解決したり、答えが出たりするものではなくても、考え続けなければならない問題」と提起する。

日米地位協定を巡る問題は低空飛行だけにとどまらない。映画化に際し基地問題の現場に足を運んだ。特に負担が集中する沖縄だけでなく、さまざまな問題が全国にあることを再認識し「少しでも多くの人に見てもらいたい」と思いを強めた。

性犯罪者や交通事故の加害者が日米地位協定に守られ、処罰が困難になる問題など新たな映像を加えた。米軍に対する賛成派・反対派、さらに若者の声も盛り込んで作品に仕上げた。

日米地位協定にはいろいろな論点や切り口がある。低空飛行を入り口に改めて広く学び直す約2時間となっており、監督は「一度考えてみたかった」「いきなり本を読んでもよく分からなかった」と言う人にぜひ見てほしいと呼び掛けている。



◇大墻敦監督

大墻敦氏(おおがき・あつし)

1963年生まれ。千葉県出身。一橋大卒業後、86年からNHKでドキュメンタリー、教養、福祉、歴史などの番組を制作する。2019年から桜美林大教授。作品に「春画と日本人」(18年)、「スズさん

昭和の家事と家族の物語」(22年)、「わたしたちの国立西洋美術館」(23年)。

【時事通信社】 〔写真説明〕映画「東京上空300メートル」に登場する、毎日新聞が捉えた東京都心を低空飛行する米軍ヘリの映像

(C)2026

大墻敦・毎日新聞社 〔写真説明〕映画「東京上空300メートル」の大墻敦監督(本人提供、撮影=清水啓介) 〔写真説明〕映画「東京上空300メートル」に登場する東京都心の米軍ヘリ

(C)2026

大墻敦・毎日新聞社

2026年10月04日 15時09分


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