
中国とラオスを結ぶ「中国ラオス鉄道」で、国境を越える高速列車の直通運行が始まってから3年がたった。中国メディアによると、両国間を往来する1日当たりの乗客数は3倍に増加。これに伴い経済の一体化も急速に進んでいる。
◇高まる中国の存在感
中国ラオス鉄道は2021年末にそれぞれの国内区間が開業。23年4月に雲南省の昆明とラオスの首都ビエンチャンの直通運行が始まった。中国共産党機関紙の人民日報は直通3年に合わせ、これまでに80万人超が国境を往来したと伝えている。
記者は今年4月に雲南省シーサンパンナから鉄道でラオス側へ越境。両国の国境駅でそれぞれ出入国審査を受ける必要があるものの、乗り換えせずに行けるようになった。互いの国境駅間の乗車時間はわずか12分。審査はいずれ1カ所でまとめて行われる予定で、国境越えは今後、さらに便利になる見通しだ。
ラオス側の国境駅があるボーテンは前回訪れた3年前と比べても漢字の看板が目立ち、駅前では中国資本の大型商業施設の整備が始まっていた。貨物輸送も活発化しており、中国貿易統計によると、両国間の25年の貿易総額は98億ドル(約1兆6000億円)と史上最高を記録。直通列車の運行が始まった23年と比べて4割近く増えた。
100キロほど内陸にあるムアンサイでも「中国化」がじわりと広がっている。中国の対ラオス投資が増えており、日用品や果物の取引が急増した。スーパーの店員は「中国からの輸入品は最近さらに増えている」と明かした。ラオスメディアによると、ビエンチャンや古都ルアンプラバンを訪れる中国人旅行者数も急増しているという。
「将来性を考えて中国に留学した」。ムアンサイの駅で働く男性は流ちょうな中国語でこう話した。ラオス国内の区間のみを走る列車にも中国語が堪能な乗務員が乗車。「中国語は最も人気がある」と話した。
◇「のみ込まれる」と警戒感
もっとも、経済の一体化には警戒感もある。ボーテンでは人民元が流通し、飲食店や小売店のオーナーも中国人が目立つ。あるラオス人女性は「中国にのみ込まれるのではないか」と不安を口にした。
シンガポール紙ストレーツ・タイムズは中国人のラオス観光について、多くが中国系のホテルに宿泊し、中国系の飲食店やツアー会社を利用するため、ラオス経済に恩恵が少ないといった不満の声を伝えた。鉄道建設で背負った巨額の対中債務がラオス経済成長の足かせになっているとの見方も浮上している。
ムアンサイの小売店で出会った男性は、高速鉄道で便利になったこともあり、孫娘が中国に留学中だと教えてくれた。「ラオスは貧しい。彼女が将来ここに戻ってくるかは分からない」。男性によると、より良い生活や仕事を求める若者の中国流出も静かに進んでいるという。(シーサンパンナ=中国雲南省=時事)。
〔写真説明〕「中国ラオス鉄道」の車両=5日、中国雲南省モーハン
2026年04月20日 08時12分