
高市早苗首相がイラン情勢緊迫の長期化を受け、アジア、中東、欧州の国々と活発な首脳外交を展開している。戦後培ってきた各国との関係を生かして独自の外交を進め、存在感をアピールするのが狙いだ。ただ、米国、イラン双方とパイプがあるにもかかわらず、仲介には及び腰で、より積極的な役割を果たすべきだとの声も出ている。
「日本は苦境に陥った国に石油を単に提供するのではなく、アジア全体が強く豊かになれる道を歩む」。首相は15日、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」関連のオンライン首脳会合を主催した後、記者団にこう強調した。
会合にはフィリピン、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、東ティモール、バングラデシュ、韓国から首脳が参加。首相は各国の原油調達を後押しするため、総額約100億ドル(約1.6兆円)の金融支援を表明した。アジアへの支援攻勢を強める中国に対抗する思惑もある。
首相は電話・対面で個別会談も重ねる。3月にマーシャル諸島、マレーシア、フィリピン、インドネシアの首脳と協議したのに続き、今月に入ってフランス、アラブ首長国連邦、ベトナム、オマーン、ポーランドの首脳と意見交換。8日には紛争当事者のイランのペゼシュキアン大統領、13日には仲介国のパキスタンのシャリフ首相と電話し、事態の早期沈静化を呼び掛けた。
トランプ米大統領から先月のワシントンでの会談で貢献を求められたこともあり、外務省幹部は「汗をかいているのを見せる」と狙いを語った。
もっとも、こうした取り組みにもかかわらず、トランプ氏は最近、日本などを名指しして「米国を助けてくれなかった」と繰り返すようになった。首相がワシントンでの日米首脳会談の後、トランプ氏と意見を交わした形跡はない。
一歩踏み込んだ役割を日本に期待する声は強い。「中国がイランを交渉の場に引き出した」(トランプ氏)との見方が出る中、識者から「日本こそ間に立つべきだった」(元外務省幹部)との批判も上がる。首相は17日、英仏主導の有志国会合に「関係国の仲介努力を後押しする」とのメッセージを送ったが、米時間21日に迫った米イランの停戦期限を前に一段の外交努力が求められそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会合を受けて、記者団の質問に答える高市早苗首相=15日、首相官邸
2026年04月19日 19時05分