
2026年度の最低賃金引き上げ額の目安が55円に決まったことを受け、都道府県の審議が今後本格化する。全国最下位を避けるため、審議を延長して近隣県の動向を探る「チキンレース」が常態化する中、脱却に向けて議論の在り方を見直す声も出始めた。
「労使双方とも『最下位脱出』という大きなプレッシャーを感じていた」。秋田地方最低賃金審議会会長を務める臼木智昭秋田大教授は、昨年度の県の審議を振り返る。
24年度の最低賃金が全国最下位だった秋田県。昨年度は国が示した64円の目安を大幅に上回る80円の引き上げで決着、最低賃金は1031円となり、青森や鳥取、高知各県などを上回った。大幅な引き上げに経営者側は反発したが、準備期間を確保するため、通常10月の発効日を今年3月31日に遅らせることで歩み寄ったという。
ただ、全国でも発効日をずらす動きが相次ぎ、秋田を含め6県が越年。その分適用も遅れることから、「生活改善が進まない」(産別労働組合幹部)との懸念も広がった。
過熱する地域間競争を防ぐため、国の審議会は今年6月、「地域の実態と乖離(かいり)した引き上げは適切ではない」と指摘。発効日を遅らせる場合は「必要性を十分議論」するよう求めた。
人材流出などへの懸念から最下位回避のプレッシャーはなお強いが、臼木会長は「(順位ではない方向に)議論の形を変えていかないと、本来の議論ができなくなる」との懸念を示した。
〔写真説明〕中央最低賃金審議会の小委員会=7月28日、東京都港区
2026年08月04日 20時56分