新米の概算金、下落相次ぐ=前年産が大量在庫、販売見通せず―店頭価格の「新古逆転」も



新米の収穫が本格化するのを前に、各地の農業協同組合(JA)が農家に前払いする「概算金」を引き下げる動きが広がっている。高騰した2025年産米より4割程度下落した産地もあり、店頭価格も値下がりが見込まれる。間もなく古米となる25年産米の在庫が大量に残り、新米の販売を見通せない卸売業者などからの引き合いが弱いことが背景にある。

最大産地の新潟県では、JA全農にいがたが県内JAに示した概算金が、コシヒカリの1等米60キロ当たり1万8500円と、前年比38%下がった。各JAが農家に支払う金額の基準となる。担当者は、価格高騰で売れ行きが鈍い25年産米を新米と並行して売る異例の状況で、先行きが不透明だと説明。需給が改善すれば追加で支払う考えだ。

北海道のホクレン農業協同組合連合会は各JAへの概算金を約4割引き下げた。前年に2万9000円だったななつぼしは1万7000円とした。担当者は「政府備蓄米の放出という過去にない対応の影響が大きい」と指摘した。

農林水産相認定の業界団体が示した4月時点のコスト指標は、生産段階で2万535円。多くの産地で概算金が指標を下回るコスト割れの状態となっている。コシヒカリの概算金を1万7500円とした三重県のJA伊勢の担当者は「経費は高騰しているのに、概算金は大きく下がってしまった」と生産者への影響を懸念する。

福井県のJA福井県はコシヒカリの概算金を1万7000円と、過去最高額だった前年から1万2000円引き下げる。島根県のJAしまねはコシヒカリで1万6000円を提示。竹下克美組合長は、流通経費などを踏まえた店頭価格は「5キロ3000円前後になる」との見方を示した。

概算金が低い新米が出回ると、25年産より26年産の価格が低くなる逆転現象が起きる。東京都渋谷区の三代目小池精米店では、新米が古米の価格を下回った。店主の小池理雄さんは「高すぎるのも嫌だが、農家が持続可能になるような値段で売りたい」と複雑な思いを吐露した。

宮崎県日南市で農業法人代表を務める大塚達男さんは、人件費を中心に経費が大きく上昇し、「続けるのがきつい」とつぶやく。同県串間市の農家平塚広樹さんも「生活できない。担い手もいなくなる」と危機感をあらわにした。

全国農業協同組合中央会(JA全中)の神農佳人会長は「持続的に米作りをできる額でなければ、米作りは全国的に衰退してしまう」と訴える。昨年放出した備蓄米の早期買い戻しにより、需給の安定化を図るよう政府に求めている。

〔写真説明〕稲穂を見詰める農業法人代表の大塚達男さん=25日午前、宮崎県日南市 〔写真説明〕三代目小池精米店に並んだ2026年産の新米=25日午後、東京都渋谷区

2026年08月27日 07時10分


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