商業施設避難、見直し急務=現場の「迷い」回避、貴重品は携行―熊本地震1カ月



熊本県で最大震度7を観測した地震後に起きたイオンモール熊本(嘉島町)の爆発事故を受け、商業施設の運営者や入居テナントは対策の見直しを迫られた。全国70施設が防災拠点の機能を有するイオングループの建物で発生したことも衝撃を広げており、イオンに限らず防災力向上に向けた検討を急いでいる。

今回の事故では、地震で一度避難した後に再入館した従業員が爆発の犠牲となった。詳細な経緯はイオンが調査中だが、避難後の再入館はマニュアルで禁止されていたため、経済産業省は8月半ば、日本ショッピングセンター協会などに対して、再入館時の安全確認の在り方などについて検証を要請した。

名古屋市の商業施設は、ガスなどの設備点検を経て従業員の再入館を認めているが、「確実に安全が確保できる体制をつくる」(関係者)と対策強化に乗り出した。大手百貨店は「従業員らが現場で迷わぬよう必要な整理を行う」と説明した。

福井市のショッピングモール「エルパ」は、能登半島地震を踏まえ、昨年マニュアルを大幅に改良し避難時間を短縮。今回の事故後は「どの時点で安全と判断するか施設全体で検討している」(運営担当者)という。「運営側には建物内に戻さないという基本ルールを守らせる役割が求められている」(大手不動産)との声も出る。

テナント側も対策強化を図る。爆発で従業員3人が死亡したオンワードホールディングスは、携帯電話や家・車の鍵など帰宅に必要な私物の常時携行を義務化した。同社は「再度施設に入る必要性をなくす」と強調する。セブン―イレブン・ジャパン(東京)も、店内ロッカーで管理している従業員の貴重品の携行を議論する方針だ。

事故原因として、LPガスへの引火の可能性が指摘される中、経産省は事業者に顧客のガス設備の点検を要請。LPガス大手の日本瓦斯(ニチガス)は11月末をめどに商業施設を含めた550カ所を対象に点検を終える方針で、緊急時のガス遮断弁の動作確認などを行う。

災害時、大規模施設は避難先となるケースも多い。三菱地所では、東京都千代田区の丸の内エリアで運営するビル14棟で帰宅困難者を受け入れる。今回の事案を踏まえ、さらに「施設運営や危機管理体制の向上に努める」(広報)と話した。

〔写真説明〕地震発生後に起きた爆発で建物が激しく損傷し、7人が死亡した「イオンモール熊本」=10日、熊本県嘉島町(小型無人機で撮影) 〔写真説明〕三菱地所が丸の内エリアのビルで実施した防災訓練=2025年9月、東京都千代田区(同社提供)

2026年08月29日 07時15分


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