
【アッシュビル時事】トランプ米政権が、長期金利の上昇と円安への対応に苦慮している。7月末に日本と協調して円買い介入に踏み切ったほか、今月には長期国債の買い戻し枠を2倍超に拡大。米長期金利の上昇を抑えるため、異例の市場対応を相次いで打ち出し、円と国債の「二正面」から市場の安定化を図ったが、いずれも効果が薄れている。
協調介入から約1カ月後の28日には、外国為替市場で円相場が一時1ドル=160円台を突破した。7月下旬に164円に迫ったが、円買い介入によって155円台まで円高が進行。だが、早くも上昇幅の半分以上が消えた。ベセント財務長官は28日、「円相場の無秩序な動きは世界の市場を不安定化させる」と警戒感を示した。
異例の円買い介入の裏には、通貨安と債券安の続く日本が、円買い介入の原資となる米国債を売却すれば、米金利に一段の上昇圧力がかかりかねない懸念があった。ベセント氏は、米国債を担保にドルを調達できる制度の活用拡大を呼び掛け、債券市場への波及を封じる考えを示す。
米財務省は19日、長期債の買い戻し額を増額する手にも打って出た。30年債利回りが前日に19年ぶりの高水準を付けた直後の決定で、米金利はいったんは低下。しかし、すぐに上昇に転じた。
かつてベセント氏の指導役だった著名投資家ドラッケンミラー氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に反して価格を防衛しても、必ず失敗する」と警告。市場では、巨額の財政赤字や高インフレ、日米金利差といった前提が変わらないままでは、こうした「介入」の効果は一時的と冷ややかに見る向きが多い。
「長年の友人である植田和男日銀総裁とアッシュビルで会うのを楽しみにしている」。ベセント氏は協調介入直後、SNSにこう記した。追加の為替介入を辞さない構えのベセント氏は、円安と金利高にどう処方箋を示すのか。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせた両氏の会談に市場の注目が集まっている。
〔写真説明〕記者会見するベセント米財務長官=24日、ワシントン(AFP時事)
2026年08月31日 07時50分