政治圧力緩み、競争一服=最低賃金、全地域で上げ幅縮小



2026年度の最低賃金改定では、全ての地域で引き上げ額が前年度を下回った。近年の急ピッチな引き上げに苦慮する中小企業も多い中、国や自治体からの「圧力」が弱まり、過熱していた地域間の引き上げ競争には一服感もみられる。

秋田県では25年度、鈴木健太知事が「(最低賃金の)全国最下位脱出」に向け、大幅な引き上げに期待を表明。県側からの要請もあり、秋田地方最低賃金審議会は24年度(54円)を大きく上回る80円の引き上げを決めた。ただ、大幅な引き上げに経営者側が反発。準備期間を確保するため、発効日は例年より半年ほど遅い今年3月末にずれ込んだ。

こうした経緯もあり、今年度は鈴木知事も「可能な限り上げていただきたいが、静かに見守りたい」と抑制的な姿勢に終始し、引き上げ幅は前年度を21円下回る59円で決着した。

経営者側が反対した前年度と異なり、採決は全会一致。臼木智昭会長は「今回は順位や他県の状況を特に意識するような議論にはならなかった」と振り返った。

圧力が弱まった背景には政府の姿勢の変化もある。前年度は最低賃金引き上げにこだわった石破政権の下、赤沢亮正経済再生担当相(当時)が「賃金向上担当相」を兼ね、経済団体などに働き掛けて大幅引き上げを後押しした。だが、高市政権は「20年代に全国平均1500円」の最低賃金を目指すとした石破政権の目標を事実上先送り。今回の改定を巡る議論でも、関係閣僚の目立った動きは見られなかった。

最低賃金の継続的な引き上げは労働者側にとって朗報だが、コスト増に苦しむ中小・零細企業からは対応に苦慮する声も聞かれる。甲府市で飲食店を経営する男性は「従業員の労働時間を短くして対応するしかない」と話す。山梨県は支援金を支給して賃上げを後押しする方針だが、県の経済団体幹部は「(支援金が)今年限りだとすれば来年、再来年の引き上げは厳しい」とみる。

北海道大の安部由起子教授(労働経済学)は「(補助金頼みでは)どこかで無理が出てくる」と指摘。「持続的な賃金引き上げには生産性向上が一番重要だ」と話した。

2026年09月04日 07時04分

administration


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