
【ロンドン時事】2027年10月に任期満了となるラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が早期に退任するとの観測がくすぶっている。来春のフランス大統領選など欧州の政治情勢に不透明感が漂う中、ユーロ圏の金融政策を担う重要ポストを巡る関係各国の駆け引きが加速しつつある。
ロイター通信は今月、世界経済フォーラム(WEF)がラガルド氏を11月にも次期会長に指名する見通しだと報じた。来年1月、スイス・ダボスで行われる年次総会(ダボス会議)に、同氏は会長として出席する可能性があるという。
仏大統領選では、極右野党・国民連合(RN)のルペン前党首が世論調査で先行する。来年5月に任期を終えるマクロン仏大統領がECB総裁人事に関与できるよう、仏出身のラガルド氏が前倒しで身を引くとの見方は根強い。
ラガルド氏は「27年より前に退任することはない」と話す。だが、来年1月下旬に回顧録の出版を予定しており、早期辞任の臆測は収まらない。
ECBでは来年、総裁だけでなく幹部2人も交代する。1月にはドイツ出身のシュナーベル専任理事が退任し、国際通貨基金(IMF)高官に転じる。アイルランド出身のチーフエコノミスト、レーン専任理事の任期も5月に迫る。ユーロ圏諸国は出身国などのバランスを踏まえ、総裁を含む幹部3人事を包括で検討するとみられる。
ラガルド氏の後任には、国際決済銀行(BIS)のデコス総支配人の名前が挙がる。デコス氏はスペイン出身で、米ブルームバーグ通信によると、同国ではサンチェス首相だけでなく野党もデコス氏への支持を表明。初のスペイン出身の総裁誕生に向け、国を挙げて後押しする構えだ。
オランダ中央銀行のクノット前総裁も有力候補とされる。英紙フィナンシャル・タイムズなどは、フランスがクノット氏の総裁就任を支持する一方、政策運営の要となるチーフエコノミストに自国出身者を提案していると報道。総裁とチーフエコノミストをスペイン、フランスの南欧勢が出せば、「ドイツやユーロ圏北部諸国が容認しそうにない」との関係者の見方を伝えた。
〔写真説明〕欧州中央銀行(ECB)の次期総裁候補に名前が挙がるクノット前オランダ中銀総裁(中央)と、ラガルド現ECB総裁(左)=2025年10月、オランダ・アムステルダム(EPA時事)
〔写真説明〕ECB次期総裁候補に名前が挙がる国際決済銀行(BIS)のデコス総支配人(BISのホームページより)
2026年10月27日 19時08分