米中間選挙での与党共和党の大敗を受け、外国為替市場では円安圧力が一服するとの見方が出ている。人工知能(AI)の開発促進や、現金給付など財政拡張的なトランプ政権の政策にブレーキがかかれば、米金利低下や株安によってドル売りが誘発される可能性があるからだ。ただ、大統領権限を盾にしたトランプ大統領の動向には不透明感が強く、市場は今後の政策運営を注視する。
トランプ政権は2025年1月の発足後、高関税政策の導入などで市場を大きく揺るがしてきた。今年2月のイラン攻撃では、中東情勢の悪化を背景に「有事のドル買い」が進行。原油価格の高騰は日本の貿易収支を悪化させ、円相場は7月下旬には一時1ドル=164円目前と、約39年半ぶりの安値まで下落した。
議会の主導権を掌握した野党民主党は、かねてイラン攻撃を批判してきた。市場では「議会のけん制によってエスカレートが避けられる」(大手行)と期待が高まっている。地政学的な緊張の緩和で原油価格が下落に転じれば、ドル建ての支払いが減り、円高の要因となる。
AI需要がけん引してきた株価の動向も焦点だ。民主党はAIやデータセンター建設の規制に前向きな姿勢を見せている。AI相場の変調で世界的な株安が進めば、「リスク回避の円買いが強まる可能性がある」(国内証券)との声が上がる。
インフレ対策での大規模な現金給付などの「ばらまき」が見直されれば、財政への懸念が後退。米長期金利の低下によって日米の金利差が縮小し、円買いが進みそうだ。一方で「長期的には財政健全化が進み、ドルの信認が向上して円安になる」(国内資産運用会社)との指摘もある。
政府高官の人事を承認する上院を民主党が奪還したことで、トランプ政権は米連邦準備制度理事会(FRB)に金融緩和を志向する人物を送り込むのが難しくなる。FRBは利上げを進めやすくなるが、日銀も金融緩和の調整ペースを速める方針で、この点は為替相場への影響は限定的とみられる。
2026年11月06日 08時02分
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