
【シリコンバレー時事】3日に投開票が迫る米中間選挙には、テック業界から巨額の資金が流れ込んでいる。個人では米実業家のイーロン・マスク氏が突出し、共和党を強烈に後押しする。また、企業献金額は過去最高を更新し、そのうち約4割を暗号資産(仮想通貨)関連や巨大IT・人工知能(AI)といったテック企業が占め、米政界への影響力を増している。
◇700億円
米紙ワシントン・ポストによると、マスク氏は今年の中間選挙に4億4600万ドル(約700億円)を投じており、個人としては米国史上最大規模だという。マスク氏が特に注力しているのが、自身が2020年に移り住み、電気自動車(EV)大手テスラや宇宙・AI企業スペースXなどが本社を構える南部テキサス州だ。
同州は代表的な共和党の牙城だが、上院選で野党民主党候補ジェームズ・タラリコ州下院議員(37)と、共和党のケン・パクストン州司法長官(63)が激しく争っており、今回の中間選挙の注目州となっている。政治献金の多くは両党の政治広告に費やされ、ネット上には双方が相手を厳しく批判する広告があふれている。
マスク氏の巨額献金には、自身が率いるテック企業のお膝元も含め共和党の議席を維持し、環境規制やAI規制に前向きな議員の誕生を防ぐ思惑があるとみられる。タラリコ氏は10月21日、X(旧ツイッター)で「1人の兆万長者(トリリオネア)が自分専用の上院議員を買うことを許す政治システムには深刻な問題がある」とマスク氏を批判した。
◇企業献金、6割増
米市民団体パブリック・シチズンが10月下旬までの米連邦選挙委員会(FEC)の公開資料などを分析したデータによると、今回の中間選挙のテック以外も含めた主な企業全体の献金額は、報告されているだけで7億3730万ドル(約1200億円)。24年の大統領選挙から6割も増え、過去最高を記録した。
そのうち、暗号資産関連企業が約3割の2億3300万ドル、巨大ITやAI関連企業が約1割の7310万ドルを拠出していた。こちらもマスク氏同様、不利な規制を回避することが主な狙いだ。
献金先は共和党に偏る。パブリック・シチズンによれば、企業献金の最大の受け手はトランプ氏を支援する特別政治活動委員会(スーパーPAC)「MAGAインク」で、全体の約2割に当たる1億4100万ドルを集めた。
一方で、物価高などへの不満からトランプ政権・共和党への逆風が報じられる中、民主党に接近する動きもあるようだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ氏に近い一部の企業は民主党への寄付も行っているほか、民主党が議会で優勢になった際、トランプ氏に対する資金援助などに関する調査に備えた対策も進めているという。
【時事通信社】
〔写真説明〕米ホワイトハウスの会合に出席したイーロン・マスク氏=9月29日、ワシントン(AFP時事)
2026年11月01日 07時01分