「平和、逃がさないで」=95歳被爆者の切明さん講演―広島



広島市の被爆者、切明千枝子さん(95)が17日、原爆投下から今年で80年となるのを前に市内で講演し、「二度と広島のような悲劇が起きないよう、平和を逃がさないでしっかり守って」と訴えた。「恐ろしい爆弾でした。どう表現していいか分からないけれど、むごいものでした」と言葉を絞り出した。

市の「被爆体験証言者」で最高齢の切明さんは15歳のとき、爆心地から1.9キロの路上で被爆。爆風で飛び散ったガラスの破片が頭に刺さりながらも、学校で下級生の救護に当たった。

古い天ぷら油を塗るのが「たった一つの治療」。次々に亡くなっていく下級生の遺体を、校庭に穴を掘って並べた。「この手で何人も何人も焼いた。淡いピンク色をした桜の花びらのようなご遺骨を見たとき、初めて涙が出ました」と声を震わせた。

講演の最後には、自作の短歌「若者を戦火に死なせてなるものかと老いにむち打つ語り部われは」を紹介。「平和というのは、うっかりするとすぐに逃げてしまう。逃がさないよう、つかまえて離さないようにして」と語った。

〔写真説明〕講演する広島市の被爆者、切明千枝子さん=17日、同市中区

2025年05月17日 18時53分


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