
単細胞の真核生物「ラパザ」が緑藻から奪った葉緑体に対し、自らの遺伝子が生み出したたんぱく質を送り込んで光合成を行わせていることが実験で裏付けられた。福井工業大の柏山祐一郎教授や大阪公立大の中澤昌美講師らが7日までに英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。
葉緑体は原核生物「シアノバクテリア」に起源があり、真核生物の緑藻や植物はシアノバクテリアを細胞内に取り込んで小器官の葉緑体に変えたと考えられている。ラパザの実験成果はこの進化過程を解明する手掛かりになるという。
ラパザは2012年にカナダ西海岸の潮だまりで発見され、当初は緑藻の一種「テトラセルミス」を捕食しているとみられていた。しかし、実験室で培養し、顕微鏡で詳細に観察した結果、テトラセルミスの葉緑体だけ奪って利用していることが分かり、23年に発表された。
葉緑体には独自のDNAがあるものの、光合成を行うのに必要なたんぱく質の多くは緑藻や植物側の遺伝子群によって生み出され、供給されている。ラパザも奪った葉緑体に対して、自らの遺伝子が生み出したたんぱく質を送り込んで光合成を行わせていることが、遺伝子操作実験で確認された。
〔写真説明〕緑藻を取り込む単細胞生物「ラパザ」。葉緑体を奪い、自らが生み出したたんぱく質を送り込んで光合成させていることが実験で確認された(柏山祐一郎・福井工業大教授提供)
2026年04月07日 14時23分