mRNA投与で心不全改善=マウスで、生存率も向上―大阪大



心筋梗塞で弱った心臓の回復に役立つ五つの遺伝子を特定し、これらをメッセンジャーRNA(mRNA)としてマウスに同時投与したところ、心機能が改善され、生存率が高まることを確認したと、大阪大の研究チームが2日発表した。複数のmRNAを組み合わせて治療効果を示した研究は世界初という。論文は5月、国際科学誌に掲載された。

心筋梗塞を起こした心臓では、炎症や細胞死、血流低下などが同時に進み、心不全につながるケースもある。現在は血流を再開させる治療が中心で、傷んだ心筋の機能低下を防ぐ有効な治療法は限られている。

阪大大学院の伴田一真医師や位高啓史教授らの研究チームは、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の心筋細胞から分泌される小胞(エクソソーム)などを解析し、心筋修復に関わる五つの遺伝子を特定。これらの遺伝子情報を基に、体内で目的のたんぱく質を作らせるmRNAをそれぞれ作製し、ナノサイズのカプセルにまとめた。

心不全を発症したマウスの心筋に投与したところ、新たな血管の形成が促されるとともに組織の硬化や細胞死が抑えられ、心機能の改善と生存率の向上が確認された。他臓器への影響はほとんど確認されず、目立った炎症反応も認められなかった。

位高教授は「今まで治療が難しかった病気にも応用できる可能性がある」と指摘。ヒトへの応用にはなお年単位の研究が必要だが、実用化に向けた検討を進めたいとしている。

〔写真説明〕大阪大本部=大阪府吹田市

2026年06月02日 18時54分


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