原油、中東依存低減にコストの壁=代替調達単価高く、設備負担も



中東情勢の悪化を受け、原油の輸入単価が急騰している。4月の原油の輸入単価は1キロリットル当たり10万1400円と、ロシアのウクライナ侵攻で上昇した2022年7月(9万9598円)を上回り過去最高となった。国際価格上昇に加え、安価な中東産からの代替調達の急増が押し上げている。官民で中長期的な中東依存度の低減を模索する中、コストが大きな障壁となりそうだ。

4月の貿易統計によると、「原油および粗油」の中東からの輸入は、数量ベースで前年同月に比べ67.2%減少。一方、代替調達先となった米国からは38.8%増えた。輸入単価は、中東からが9万9724円だったのに対し、米国からは11万4660円。単価が高い米国からの輸入が増加すれば、価格上昇圧力がかかる構図となっている。

さらに、代替調達では従来の中東からの航路よりも輸送距離が長くなるため、輸送費や人件費の増加がコストに上乗せされる。石油元売り会社などでつくる石油連盟の木藤俊一会長(出光興産会長)は「企業努力だけで吸収できるものではない。コストを転嫁せざるを得ない」と語る。

産地で性質が異なる原油について、日本は精製設備などを中東産原油の処理に最適化してきた。日本の原油の中東依存度は2度のオイルショックを経て低下する場面もあったが、中東産原油のコストの安さを背景に、米イスラエルによるイラン攻撃前は9割を超えた。経済合理性で考えた場合、「新しく設備を作り直して中東から切り替えるという話にはならないのではないか」(伊藤忠総研の浅岡嵩博主任研究員)との指摘もある。

木藤氏は中長期的には原油調達の中東依存度を下げる方向性を示した上で「(将来的な)設備の改造も必要かもしれない」と語る。コスト増をどう吸収するかは国を挙げた議論となりそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕伊勢湾内の係留施設に到着した出光興産子会社の原油タンカー「IDEMITSU

MARU(出光丸)」=5月25日、愛知県知多市から撮影

2026年06月02日 08時17分


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