
受刑者の選挙権を一律に認めない公選法の規定は憲法違反かどうかが争われた訴訟の上告審弁論が14日、最高裁大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)で開かれ、結審した。一、二審は合憲としており、年内にも大法廷が初の憲法判断を示す見通し。
公選法は拘禁刑以上の刑に処せられた場合、執行が終わるまで選挙権を認めていない。最高裁は2005年、在外邦人の選挙権を巡る訴訟で、「自ら選挙の公正を害する行為をした者などを除き、選挙権の制限は原則として許されず、制限にはやむを得ない理由が必要だ」と判示している。
この日の弁論で原告の八木橋健太郎さん(40)は「刑務所の中でも一人ひとりが政治に関心を持っている。受刑者というだけで権利を奪わないでください」と意見陳述した。代理人弁護士は、選挙権は国民固有の権利として保障されていると指摘。選挙犯罪とは異なる罪で服役している受刑者が投票しても、選挙の公正は害されないと訴えた。
一方、国側は「受刑者は法秩序を著しく侵害した者で、選挙権を行使する適格性がない」と反論。刑期という一定期間の制限は必要で合理的だと主張した。
一、二審判決などによると、八木橋さんは19年に詐欺罪で懲役7年の実刑判決が確定して服役し、21年の衆院選と最高裁裁判官の国民審査、22年の参院選で投票できなかった。
同年、公選法の制限規定は違憲だとして、投票できる地位の確認や損害賠償を求めて提訴。一審東京地裁は23年、規定は合憲として請求を退け、二審東京高裁も24年に支持した。
閉廷後に記者会見した八木橋さんは「刑務所では社会から長く断絶される可能性がある人ほど選挙に興味を持っていた。違憲判決を求めたい」と話した。
〔写真説明〕受刑者の選挙権制限を巡る訴訟の上告審が結審した後、記者会見する原告の八木橋健太郎さん(中央)ら=14日午後、東京都千代田区
〔写真説明〕最高裁=東京都千代田区
2026年10月14日 17時43分