
音楽バンドの曲を楽譜にまとめた「バンドスコア」を模倣し、ウェブサイトに無料公開されたとして、楽譜出版社「フェアリー」(東京)がサイト運営会社側に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が9日、最高裁第2小法廷であった。三浦守裁判長は賠償責任を認め、サイト側の上告を棄却した。約1億6900万円の支払いを命じた二審判決が確定した。
楽譜は曲自体と異なり「創作的表現」に当たらず、著作権法の保護対象外とされてきた。著作権法で保護されない表現物の利用を巡り、営業上の利益を侵害したとして、民法上の賠償責任を最高裁が認めたのは初めて。表現物の営利目的での二次利用に関する他の訴訟に影響を与えそうだ。
判決などによると、録音現場で演奏しながら作曲するバンド音楽は、完全な楽譜が存在しない場合が多い。原告は日本音楽著作権協会(JASRAC)に使用料を払い、音源を聞いて書き起こす「採譜」をしてバンドスコアを販売。被告側は原告のバンドスコアを購入し、模倣したものを自社サイトで無料公開して広告収入を得ていた。
小法廷は判決で、被告側は少なくとも約6年半にわたり、579曲分を模倣しており、バンドスコア制作に要する多大な負担を免れたと指摘。原告の売り上げが大きく減少した期間もあり、営業継続に直接的で重大な悪影響を及ぼすことを認識していたと述べた。
その上で、同様の行為が許されれば、採譜をする楽譜出版社が市場で著しく不利な立場に置かれ、公正な競争秩序が害されかねないと言及。「自由競争の範囲を逸脱して営業を妨害した」として不法行為が成立すると結論付けた。
一審東京地裁は2021年、両者のバンドスコアには異なる部分もあるとして模倣を否定し、請求を棄却した。一方、二審東京高裁は24年、表記の一致率が9割超と極めて高いことなどから模倣を認め、賠償を命じた。
【時事通信社】
〔写真説明〕最高裁=東京都千代田区
2026年10月09日 18時37分