
大相撲九州場所は8日、福岡国際センターで初日を迎える。沖縄県出身では初めての新三役として東小結に就いた美ノ海は、地道な鍛錬の成果を発揮できるか。2場所ぶりに小結復帰を果たした義ノ富士は出世を遂げるために再加速を目指す。
◇力出し切る
背伸びはしない。33歳の美ノ海はひょうひょうとした様子で「いつもと変わらず、力を出し切る」と抱負を述べた。
日大から角界入り。左で前まわしを狙う攻めを地道に磨き、学生相撲出身では最も遅い初土俵から所要63場所で三役の座を射止めた。「僕の相撲の起点は左で前みつを取る。取れたり、取れなかったりしても続けていく」と、信条はぶれない。
その土台は、四股へのきめ細やかな意識が支えている。柔軟運動や股関節、臀部(でんぶ)などへの効果を考慮した上で体の位置を変えるなど、工夫を加えた複数の種類の四股があるという。
筋力増強ではなく、どこに痛みを感じるかという「体との対話」が目的。己を知れば、余計な焦りも減り、だからこそ持ち味である常に泰然とした態度になれるのだろう。
師匠の木瀬親方(元幕内肥後ノ海)は「昔から(美ノ海に)俺は声を荒らげた記憶がない。マイペースで良い」と黙々と精進する姿勢を評価した。
美ノ海は帰省の際、自身の少年時代より沖縄県の相撲人口が増加していると感じたという。「相撲をやりたいと思う子どもが増えることが、一番の励みになる」。準ご当所となる博多の土俵で存在感を発揮し、地元に良いニュースを届けたいところ。「一年の最後。勝ち越して締めくくりたい」と技巧派は静かな口調で誓った。
【時事通信社】
〔写真説明〕朝稽古で相撲を取る新小結美ノ海(左)=10月30日、佐賀県基山町
2026年11月03日 07時10分