「国難級災害」へ備え急務=防災庁、司令塔役果たせるか



防災庁が発足した2日、細野豪志防災相は「国難級の災害」への備えを第一の使命に掲げ、事前防災の徹底を呼び掛ける「緊急要請」を実施した。災害による被害を防止したり小さく抑えたりするのが目的だが、政府が平時にこうした要請を行うのは異例。効果的な防災対策を進められるかどうかが成否を分けそうだ。

政府の地震調査委員会は今後30年以内の南海トラフ地震の発生確率を「60~90%程度以上」としている。細野氏は2日の閣議後記者会見で「地震の予知について特別な情報は入っていない」としつつ「災害を『自分事』として捉えてほしい」と強調。国民一人ひとりが災害に備える「自助」を呼び掛けた。

政府は、新築住宅への感震ブレーカーの標準設置や、購入した家具の固定までを標準化する仕組みなど、平時と非常時を区別せずに日用品やサービスを使えるようにする「フェーズフリー」を浸透させたい考えだ。

ただ、国民の防災意識が高まっているとは言い難い。政府が2025年、18歳以上の3000人を対象に実施した世論調査では、大地震に備えて家具や家電の転倒防止対策を講じていると答えた人は37.6%。対策をしていないとした人のうち、38.2%は「やろうと思っているが、先延ばしにしている」と回答した。

防災庁には、施策が進まない他省庁に是正を求める「勧告権」が与えられた。勧告権は復興庁やデジタル庁にもあるが、これまで一度も行使されたことはない。細野氏は「抜かずの宝刀にするつもりはない」と断言したが、防災庁内には「勧告権だけで司令塔を担えるのか」との懸念もある。

福和伸夫名古屋大名誉教授(地震工学)は、防災庁が政府全体の司令塔となり、国難級の災害に対応するには、産業界など社会全体を巻き込んで体制構築を図るなど、「従来の対策と全く違った戦略を立てないといけない」と指摘する。

【時事通信社】 〔写真説明〕防災庁が発足し、記者会見する細野豪志防災相=2日、東京都千代田区

2026年11月02日 20時31分


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