大統領拘束へ戦略再検討=6日までに再執行も―韓国当局



【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の「非常戒厳」宣言を巡り、内乱と職権乱用容疑で捜査する高官犯罪捜査庁(高捜庁)や警察などの合同捜査本部は4日、大統領警護庁が協力を拒否し尹氏の拘束令状を執行できなかったことを受け、戦略の再検討を進めた。高捜庁は同日、大統領の職務を代行する崔相穆経済副首相兼企画財政相に、令状執行への協力を要請した。

令状の期限は6日。聯合ニュースは、5日にも改めて拘束を試みる可能性があるが、捜査本部内には検討に時間をかけるべきだという意見も強いと伝えた。

高捜庁は「大統領警護庁の警護が続く限り、令状執行は事実上不可能だ」と指摘。崔氏に対し「警護庁に令状執行に応じるよう命令することを強く要請する」と表明した。

捜査本部の検事や捜査員ら約100人は3日午前、大統領公邸敷地内に入ったが、警護庁の警護員ら約200人に阻まれ、約5時間半後に令状執行を断念した。公邸から約200メートルまで近づいたが、バスや車約10台でバリケードが築かれていた。

韓国メディアによると、警護に派遣されている軍や警察の部隊は、公邸敷地に入る門を開放するなど一定の協力姿勢を示した。警察は令状執行を妨げた警護庁長官らを特殊公務執行妨害容疑などで現行犯逮捕するよう提案したが、高捜庁が衝突を懸念し止めたという。

捜査関係者は「2倍の人数がわれわれと対峙(たいじ)し、公邸の建物に近づけなかった」と説明。令状執行を再び試みる場合、人員を増やす必要がありそうだ。

一方、警護庁は3日、「高捜庁と警察が警護区域と軍事機密施設に無断侵入した」として「法的措置で責任を問う」と発表。「今後も大統領の警護に万全を期す」と対抗する構えで、再度拘束に動くと衝突が起きる恐れもある。

このため、拘束令状より長期間の拘束が認められる逮捕状を請求したり、警護庁長官らの捜査を優先したりするシナリオも伝えられている。捜査本部は、崔氏の対応や世論の動向も見て判断するもようだ。

与党「国民の力」幹部は4日、「高捜庁は内乱罪の捜査権がない」と主張。「政治的行動を中止し、令状執行を巡る混乱と不幸が広がらないよう自重すべきだ」と訴えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕韓国の大統領職務を代行する崔相穆経済副首相兼企画財政相=2日、ソウル(EPA時事)

2025年01月04日 20時33分


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