石破茂首相は8日、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員らと首相官邸で面会し、祝意を直接伝えた。3月の核兵器禁止条約締約国会議に日本としてオブザーバー参加するよう求める意見が出たが、首相から明確な返答はなかった。田中氏は首相に対し、再度の面会を求めた。
被団協側は、唯一の戦争被爆国として核廃絶に向けてリーダーシップを発揮するよう要請。首相は核を保有する中国やロシア、北朝鮮の動向に言及し、「非常に厳しい国際情勢で、現状はやむを得ない」と核抑止の必要性を訴えた。「将来の『核なき世界』を目指すという思いは一緒だ」とも強調した。
平和賞受賞については「極めて意義深い。皆さま方の長年の努力に心から敬意を表し、感謝を申し上げる」と語った。
被団協側からは、被爆者に対する国家補償や長崎の「被爆体験者」救済なども要望したが、首相の回答はなかったという。面会後、田中氏は記者団に「被団協として収穫がある会見だったという受け止めではない」と不満を表明した。
【時事通信社】
〔写真説明〕ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員(左から4人目)らと面会する石破茂首相(右から2人目)=8日午前、首相官邸
2025年01月08日 12時42分