予算修正協議が最終局面=103万円の壁、国民の対応焦点―国会



週明けの国会は、2025年度予算案の修正を巡る与野党の協議が最終局面を迎える。所得税の課税最低ライン「年収103万円の壁」見直しで、自民、公明両党は年収制限の上限を850万円に引き上げる案を新たに提示。国民民主党の対応が焦点だ。与党は予算案の年度内成立に向け、審議の足かせとなっている旧安倍派会計責任者の参考人聴取の調整も急ぐが、見通しは立っていない。

「壁」見直しで、自民の当初案は500万円が上限だった。21日の自公国3党の協議で示された新提案は公明が主導。850万円を上限に4段階で控除額を上乗せする仕組みだ。

自民がこれを受け入れたのは、予算案の年度内成立を期すためだ。党幹部は「850万円を超えると赤字国債の発行が必要で、予算案は『内閣修正』になる」と指摘。与野党協議による「国会修正」と異なり、内閣修正は政府が予算案を出し直すため、衆院通過の遅れは避けられない。

国民民主は25日に対応を議論する。新提案について、古川元久税調会長は「苦労の跡は見える」と評価しつつも、「われわれの考えは(年収)制限なしだ」と慎重姿勢を崩していない。

国民民主はまた、ガソリン税の暫定税率廃止を強く訴える。結論の先送りを狙う自民に対して「ゼロ回答」と反発。榛葉賀津也幹事長は21日の記者会見で「(予算案に)『賛成だ』という政治環境を自民がつくれるかどうかだ」とけん制した。

与党と日本維新の会は、高校授業料の無償化や社会保険料の引き下げなどを盛り込んだ合意文書案について、政調会長間で大筋合意した。維新は25日にも党内で議論。一部に予算案賛成への異論がくすぶるものの、吉村洋文代表(大阪府知事)は正式合意に前向きで、了承される公算が大きい。

一方、立憲民主党もガソリン減税や給食無償化など総額約3兆8000億円の修正案を提示しているが、与党の反応は鈍い。野田佳彦代表は22日、長野市で記者団に「(立民案は)どれもこれも大事だ。全て実現するように交渉したい」と強調した。

衆院予算委員会は25日に中央公聴会、26日に教育・社会保障の集中審議を開く。ただ、参考人聴取を巡る与野党の協議が調わず、予算案採決の前提となる分科会の日程は決まっていない。

野党はさらに「政治とカネ」など計2回の集中審議を要求。与党は年度内の自然成立が確定する3月2日までの衆院通過を目指すが、野党の協力を引き出せなければ断念せざるを得ない状況だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕協議に臨む自民、公明、国民民主3党の税制調査会長ら=21日、国会内 〔写真説明〕協議に臨む自民、公明、日本維新の会3党の政調会長ら=21日、国会内

2025年02月23日 07時05分


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