除染土「再利用」理解進まず=県外最終処分まで20年―福島・東日本大震災14年



環境省は、東京電力福島第1原発事故の除染で生じた「除去土壌」について、福島県外での最終処分までの工程表案をまとめた。公共事業などで再生利用することで処分量を減らし、処分地の決定は2030年ごろ以降とした。ただ、県外での再生利用の実証事業は住民らの反発で頓挫しており、課題は山積している。

除去土壌は現在、福島県内の中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)で保管されている。20年後の45年3月までに県外で最終処分すると法律で定められているが、処分地に関する議論はこれまでほとんど行われていない。

中間貯蔵施設の用地は約8割が民有地だ。ある地権者は「期限までに土地が戻ってくる約束を前提に苦渋の決断をした。戻ってこないことは許されない」と強調する。

環境省は工程表案で、25年度から最終処分場の候補地選定に向けた検討に着手するとしたが、地権者会の門馬好春会長は「明確な時期はなく、何も進んでいない」と話す。

最終処分に向けた理解も広がっていない。環境省の24年度の調査では、法律の規定について「よく知っていた」または「内容を少しでも知っていた」と答えた人は福島県外では約25%にとどまった。東京都の新宿御苑や埼玉県所沢市などで計画された再生利用の実証事業は住民の反発を受け、実施のめどは立っていない。

環境省福島環境再生本部長として除染に携わった小沢晴司宮城大教授は、再生利用について「どこかの自治体で事例を作ることができれば、他の自治体も追随するのではないか」と指摘。理解醸成に向け「福島を学ぶ必要がある」と、取り組みの強化を訴えた。

【時事通信社】 〔写真説明〕東京電力福島第1原発事故の除染で出た土などが置かれている中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)内の保管場=1月10日

2025年02月24日 07時04分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース