4月13日の大阪・関西万博開幕まで残り1カ月となり、準備が大詰めを迎えている。これまでの過程では、会場建設費が2度も上振れし公費負担が増大したり、独自パビリオン建設を断念する国が相次いだりするなど「想定外」の事態に見舞われてきた。全国的な機運も盛り上がらない中、関係者は打開策を見いだせずにいる。
今回は2005年に愛知県で開かれた「愛・地球博」以来20年ぶりの大型博覧会だ。18年、アゼルバイジャン、ロシアとの激しい誘致合戦を勝ち抜き、大阪での開催が決定した。
国、経済界、自治体が3分の1ずつ負担する会場建設費は当初1250億円と見込まれていた。ところが、暑さ対策や資材価格の高騰などのため、20年12月と23年11月の2度にわたって増額し、最大2350億円となった。約1.9倍に膨れたことで万博不要論も高まった。
参加国・地域が出展するパビリオンのうち、「万博の華」とされるのは各国が独自に建設する「タイプA」だ。独特なデザインが会場を彩る予定だったが、物価高などの影響で施工会社が決まらない国が続出。結局、出展するのは47カ国と当初計画から2割程度減少した。度重なる撤退・変更で生じた「空き地」を有効活用するため、プレハブの休憩所や芝生広場が整備されることになった。
日本初の商用運航を目指していた「空飛ぶクルマ」にも誤算が生じた。多くの人に未来社会を体感してもらおうと、一般の来場者も乗車できるようにする計画だったが、機体の開発遅れなどが響き、デモ飛行のみになった。
「いまさら後ろを向いても仕方がない。やれるだけのことをしっかりやる」。今月7日の記者会見で機運醸成への課題を問われた伊東良孝万博担当相はこう強調した。日本国際博覧会協会幹部は「万博を体験した人がいない状況ではいくら宣伝しても難しい」と指摘。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた前回万博で会期後半に来場者が急増したことを踏まえ、開幕以降の「口コミ効果」に期待する。
【時事通信社】
〔写真説明〕4月の開幕に向けて準備が大詰めを迎える大阪・関西万博の海外パビリオン=6日、大阪市此花区(小型無人機で撮影)
2025年03月13日 07時09分